ふるさと納税は相続税の節税になる?メリット・デメリットを解説
お得な税制度として名高いふるさと納税は、所得税や住民税の控除が行われ、税負担を効果的に減らすだけではなく、各地の特産品を受け取れるということで大変人気がある制度といえます。
そんなふるさと納税ですが、果たして相続税においてもお得な活用方法は存在するのでしょうか。
本稿では、相続税においてふるさと納税を特例控除などを含めてお得に利用できるか、メリット・デメリットなども含めて解説いたします。
ふるさと納税のメリット―相続税も控除される?計算式は?
ふるさと納税は、自分の居住する場所以外への地方自治体への寄付金を通じて、所得税や住民税の税金控除と各地の名産品を受け取れる制度です。
所得税と住民税が代表的な控除対象となっており、この税控除のメリットの大きさからすでに利用されている方も多くいらっしゃることでしょう。
では、ふるさと納税は、相続税においても活用できるのでしょうか。
結論としては、相続税においてもふるさと納税の特例控除は存在します。
具体的には、「相続税の寄附金控除」という控除制度があります。
寄附金控除とは文字どおり、寄付した金額を相続財産から控除するという制度です。
相続税においてふるさと納税を利用するメリットは、この「相続税の寄附金控除」制度にあり、この制度を有効に活用することが相続税の負担を効果的に減少させることにつながります。
例えば、相続財産が1億円ある人が1000万円分寄付を行った場合は、相続税の寄附金控除の対象となり、相続財産の評価額は1億円から1000万円が控除されて9000万円となります。
この相続税の寄附金控除の対象となる寄付の一つにふるさと納税が含まれており、ふるさと納税による寄付も相続税の寄附金控除の対象となります。
ふるさと納税を活用する際のデメリット
このように有効に活用することで相続財産の評価額を減らし、相続税額を効果的に減らすことのできるふるさと納税ですが、ふるさと納税を活用する際には、主なデメリットが3つ存在します。
第一に、返礼品の価値が50万円を超える際は一時所得として所得税が課税されてしまう点です。
基本的に返礼品自体には課税が行われませんが、1年間のふるさと納税でもらった返礼品の価値が合計50万円を超える際には、50万円を超える額の部分が一時所得として課税されます。
返礼品の価値の計算方法については、1「返礼品をもらった寄付先の自治体に直接確認する」、2「寄付金額×30%で計算して求める」のどちらかの方法で確認しましょう。
第二に、遺言に基づくふるさと納税は対象外になることです。
遺言や遺言書に基づいて行われるふるさと納税は残念ながら、相続税の寄附金控除の対象とはなりません。
相続税の寄附金控除の適用条件として、相続人自身による意思で行われた寄付に対してのみ適用されるというものがあります。
したがって、遺言による寄付やふるさと納税は相続税の寄附金控除の対象とはなりません。
第三に、ふるさと納税を活用して寄附金控除の適用を受けられる控除限度額が設定されている点です。
ふるさと納税は大変お得な寄付制度であり、所得税、住民税に相続税まで様々な税金の控除枠が設定されていて非常に節税効果の高い税制度でもあります。
しかしながら、ふるさと納税を行って、控除を受けることのできる金額は有限で決して無尽蔵ではありません。
年収に応じて上限額が定められているので注意しましょう。
このように節税目的でふるさと納税を利用したはずがかえって税負担を大きくしてしまっては、ふるさと納税の利用自体が大きなデメリットとなってしまいます。
そのため、具体的にどのような自治体に寄付をしてどのくらいの金額ふるさと納税を行うのかといったことに対しては税理士など専門家に相談しながら、ふるさと納税のメリット・デメリットを比較して最終的に決定していくことが重要です。
相続に関するお悩みは久川秀則税理士事務所にご相談ください
久川秀則税理士事務所では、相続に詳しい税理士が在籍しております。
相続税制におけるふるさと納税の活用法について具体的に相談したい、自身の場合におけるふるさと納税の利用限度額を知りたい、ふるさと納税や他の特例控除などを併用する際の注意点を知りたいなど相続について気になることや疑問点がある方はお気軽に一度ご相談ください。