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相続税に関するお尋ね・通知が届いたときの対応方法

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相続税に関するお尋ね・通知が届いたときの対応方法

相続税に関する通知が税務署から届くと、多くの方が不安や戸惑いを感じるかと思います。しかし、これらの通知は必ずしも税金を納める必要があることを意味するわけではありませんし、その時点で不正等を疑われているわけでもありません。

通知を受け取ったあとで適切に対応していけば何ら問題はありませんので、当記事でまずは各種通知文書についてご確認いただき、その後の適切な対応についても目を通していただければと思います。

税務署から届く相続税に関する文書とは

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄とする税務署には市区町村から死亡届の情報が自動的に通知されます。税務署はこの情報をもとに「相続税の申告が必要となる可能性のある世帯」を調べ、相続開始から約半年後に相続税関連の文書を送付しているのです。

 

税務署はそのほかにもさまざまな情報源から各世帯の資産状況をある程度調べることができ、具体的には以下のような情報を参照すると考えられています。

 

  • 確定申告のデータ
  • 給与の源泉徴収の情報
  • 過去の相続で取得した遺産の情報
  • 高額な資産の売買情報
  • 固定資産課税台帳
  • 保険金の支払調書 など

 

これらの情報を分析し、相続税の申告が必要となる可能性が高いと判断した世帯に対して、相続税に関する文書を送付しているのです。

「相続税についてのお知らせ」について

相続税に関するお尋ね、税務署からの通知書の1つに「相続税についてのお知らせ」があります。

 

これは、相続税の申告が必要となる可能性がある世帯に広く送付される文書で、相続開始から68ヶ月程度経過した時点で届くことが多い傾向にあります。

 

この文書による通知の目的は、相続税の存在を知ってもらい、申告の必要な人が自主的に申告できるよう促すことにあります。そこで、相続税の制度の概要、申告が必要かどうかを確認するための情報が記載されています。

 

ただし、このお知らせはあくまでも注意喚起であり、必ずしもすべての申告対象者に届くものではありません。また、お知らせが届いたからといって必ず相続税の申告が必要というわけでもありません。

「相続税の申告等についてのご案内」について

もう1つ税務署から届く可能性のある重要な通知書が「相続税の申告等についてのご案内」です。

 

これは、税務署がより踏み込んだ内容で送付してくる文書です。前述の「相続税についてのお知らせ」よりも具体的な内容となっており、相続税の申告を強く促す意味合いを持っています。税務署が相続人の資産状況や被相続人の財産状況を詳細に分析した結果、相続税の申告が必要であると判断した場合に送付されるものであるためです。

 

具体的には、相続税の申告期限、申告書の提出先や納付方法、申告に必要な書類のリスト、相談窓口の案内、申告要否をチェックするための資料などが含まれています。

※一般的には「相続税のあらまし」や「申告要否検討表」なども同封されることが多い。

 

この文書を受け取ったときは、申告を行う必要性が高いと考えるべきでしょう。

相続税に関する文書が届いたときの対応

税務署から相続税に関する文書が届いても、焦る必要はありません。とはいえ無視は得策とはいえず、適切な対応を取ることが重要です。

 

まずは届いた文書の種類を確認し、それに応じた対応を検討しましょう。もっとも重要なのは「相続税の申告が必要かどうかを調べること」です。基礎控除額を計算し、相続財産の総額がそれを超えるかどうかの確認が基本的な判断基準となります。そしてその判断のためには、相続財産の把握と評価が不可欠です。
相続税の申告要否の判断や財産評価には専門知識が必要な場合も多いため、税理士に相談することも検討しましょう。

「相続税についてのお知らせ」が届いたときの対応

「相続税についてのお知らせ」を受け取ったときの基本的な対応方法は以下のとおりです。

  1. 相続財産の確認と評価
    ・・・被相続人の財産をすべて洗い出し、その評価額を算出。対象となる財産には、不動産・預貯金・有価証券・現金・貸付金・車・家財・骨董品など、ほとんどすべての財産が含まれる。負債の存在と大きさも相続税の計算や相続放棄の判断にも大きく影響するため要注意。
  2. 基礎控除額の計算
    ・・・相続税の基礎控除額は[3,000万円+600万円×法定相続人の数]で計算。
  3. 申告の必要性を判断
    ・・・相続財産の総額が基礎控除額を超えているかどうかを確認。相続財産が基礎控除額を超える場合、申告が必要となる可能性が高い。なお、相続財産の総額はプラスの価値を持つ資産等を合計し、そこから借金等の債務額を控除して算出する。また、生前の贈与財産や相続時精算課税を受けた財産の有無も要チェック。
  4. 期限の確認
    ・・・相続税の申告期限は、相続開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内。届いた時点で期限まで34ヶ月程度しか残されていない可能性があるため、迅速な対応が求められる。

なお、この通知に対して返答などを行わないこと自体にペナルティは発生しません。

 

「相続税の申告等についてのご案内」が届いたときの対応

届いたのが「相続税の申告等についてのご案内」であれば、さらに注意深く対応しましょう。

  1. 税理士への相談
    ・・・申告が必要な可能性が高いこと、期限が差し迫っていることを踏まえ、税理士を活用する。相続税の申告は複雑で専門知識も必要なため、自己判断で対応するのはリスクが高いと考えるべき。
  2. 本格的な申告準備
    ・・・相続税申告が必要という前提で、準備を本格的に進める。具体的には、相続財産の詳細な調査、厳密な評価などを行う。各財産の相続税評価額を調べるのも税理士がいるとスムーズ。
  3. 必要書類の収集
    ・・・申告に必要な書類を集めていく。不動産評価証明書、預金残高証明書などを、公的機関や金融機関から取得する。
  4. 申告書の作成
    ・・・各種控除や特例の適用も検討し、申告内容を決定。その内容を申告書に記載していく。

なお、この文書には申告要否に関する確認方法等が記された資料も添付されていることが多いので、内容をよく確認のうえ財産状況をチェックしていくようにしましょう。

申告の必要性を判断する方法

相続税の申告が必要かどうかを判断するには、主に以下2つの要素をチェックする必要があります。

  • 相続財産の総額(被相続人が所有していたすべての財産の合計額。ただし債務控除により負債分は差し引くことができる。)
  • 基礎控除額(適用条件などは定められておらず、法定相続人が多いほど控除額は大きくなる。)

この2点を調べ、相続財産の総額が基礎控除額を超えるときは、原則として相続税の申告が必要となる。
たとえば法定相続人が配偶者と子ども2人の場合、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となります。そして被相続人が所有していた財産に現金・預金で2,000万円、株式で2,000万円、不動産で2,000万円あったとすれば、申告が必要となる可能性が高いです。

 

ただ、相続財産の価額を明らかにする作業には相続税法に関する高い専門性が求められます。特に非上場株式や不動産のように計算を要する財産が存在するときは評価の難易度が高く、計算ミスも生まれやすいです。さらには相続税法上の特例や控除制度もあるため、その適用に関しても考慮しなくてはなりません。

重要なチェックポイント

相続税の申告が必要かどうかを判断するために、以下の点をチェックしていきましょう。

  • 相続財産の分割に関する確認
    • 遺言書の有無(取得財産を証明する資料として活用)
    • 未成年者相続人の有無(未成年者の親権者が遺産分割協議等を代理で対応するが、親権者も同じ相続人の立場にあるときは家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要がある)
    • 戸籍謄本等の有無(身分関係の証明に必要)
    • 遺産分割協議書の有無(取得財産を証明する資料として活用)
  • 不動産の確認
    • 未登記不動産や共有不動産の有無
    • 先代名義のままになっている不動産の有無
    • 外国に所在する不動産の有無
    • 借地権の有無
  • 有価証券の確認
    • 株式・国債・地方債・社債等の計上漏れがないか
    • 形式上の名義は異なるものの実質被相続人に帰属すべきもの(名義預金等)がないか
    • 外国の有価証券がないか
  • 現金・預貯金の確認
    • 相続開始日における残高で計上できているか
    • 貯金も計上できているか
    • 外国の預貯金はないか
    • 既経過利息の計算もできているか
  • 債務・葬式費用の確認
    • 借入金や未払金、未納のままになっている各種税金がないか
    • 敷金などの預り保証金がないか
    • 香典返しや法要にかかった費用を葬式費用として含めてしまっていないか
  • その他の財産の確認
    • 家財道具、貴金属や書画・骨とう品等の計上漏れがないか
    • 生命保険金・退職手当金の計上漏れがないか([500万円×法定相続人の数]で算出される金額までは非課税)
    • 貸付金や前払金がないか
    • 自動車の計上漏れがないか

また、すでに被相続人の手元を離れている贈与財産が相続税の課税対象となるケースもあるため要注意です。相続時精算課税の適用を受けた財産※、生前贈与加算の対象となる財産※がないかどうかもチェックしておきましょう。

 

※相続時精算課税とは

相続時精算課税は、原則的課税方式である暦年課税とは異なり、贈与財産について相続開始後に相続税の課税対象として精算する課税方式を指す。親子や孫など、直系血族の関係にある者同士でのみ適用可能で、贈与の際に手続きを行うことで選択できる。

相続開始まで、累計2,500万円までの特別控除を適用することができ、これを超えた分についてのみ贈与税で精算する。

相続開始後は適用を受けた贈与財産のすべてを相続財産と合算し、すでに納めた贈与税があるときは二重課税とならないよう贈与税額控除が適用できる。

 

※生前贈与加算とは

生前贈与加算は、贈与からの年月が浅い場合において、贈与財産を遺産の一部として相続税の計算上加算する措置のことを指す。2023年以前の贈与財産については贈与から3年間、2024年以降の贈与財産については贈与から7年間が加算の対象となる。

ただし、生前贈与加算の適用を受ける人物は、当該贈与財産以外で相続税の課税対象となる財産を受け取っている者に限る。

つまり、相続や遺贈による取得や相続時精算課税の適用を受けて行われた贈与での取得、そして死亡保険金や死亡退職金などのみなし相続財産を取得した者が対象になる。被相続人から取得した財産が過去の贈与のみであれば適用対象外(ただし贈与税の課税は受ける)。

申告準備における注意点

相続税の申告が必要と判断されたときは、特に土地や非上場株式の評価に誤りがないか、特例を適用する余地がないか、といった点に注意してください。また、被相続人の配偶者に関しては税額の軽減措置により大幅に税負担が軽減あるいは負担をゼロにできる可能性も高いです。税理士に相談するなどして各種特例の要件、効果を確認しながら正しい税額を計算していきましょう。

 

なお、特例や税額控除等により相続税額が0円になることもありますが、申告義務とは分けて考えるようにしてください。適用要件の1つが「申告を行うこと」とされているものも多いため、その場合は納付税額がなくても申告は避けられません。

 

そして原則として期限内に申告をしないとその適用も受けられませんので、期限内に基本的な申告書を作成するほか、特例等の適用のために必要な書類作成・書類収集も進める必要があります。
そしてもし期限に間に合わなければ、延滞税や加算税といったペナルティの対象にもなり得るためその点にも注意が必要です。

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久川 秀則
所属団体・資格等
  • 平成19年退官、税理士登録
  • 久川秀則税理士事務所代表社員 税理士
  • 東京税理士会 荏原支部 所属
  • 東京税理士会 研修講師(非居住者等の税務など)
  • 税理士桜友会 相談部 専門委員
  • 経営支援アドバイザー(弥生会計)
  • 相続手続相談士
  • 終活カウンセラー
略歴
  • 青山学院大学 文学部 英米文学科 卒業
  • 麹町税務署・麻布税務署にて国際税務専門官として国際課税、外資系企業、銀行・証券業の税務調査に従事
  • 東京国税局 課税第二部 法人課税課 源泉所得税審理係長として、大企業の質疑対応、複雑困難な税務調査事例の審理事務に従事
  • 国税庁 調査査察部 国際租税戦略実態解明プロジェクト

    東京国税局 調査第一部 外国法人調査部門の国際税務専門官として、外国企業に対する税務調査を担当~外資系企業や外資系銀行・証券会社などの税務調査、非居住者・租税条約の審理事務に長く携わってきました。

著書
  • Q&A報酬・料金の源泉所得税―事例解説から税務調査まで(大蔵財務協会) 非居住者等のための租税条約ガイドブック―源泉国際課税の重要解説及び主要条文(大蔵財務協会)
  • Q&Aメディア、エンターテイメントビジネスの税務―わかりやすい報酬・料金、非居住者等所得の源泉所得税(大蔵財務協会)

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