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更正の請求|払いすぎた相続税を返金してもらう方法とは

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更正の請求|払いすぎた相続税を返金してもらう方法とは

相続税は複雑な計算が必要で、財産の評価を間違ってしまうことも珍しくありません。申告を終えた後で評価ミス・計算ミスに気が付き、税金を多く納めすぎたとわかったときは「更正の請求」を行いましょう。この手続きにより、払いすぎた税金の返還が受けられる可能性があります。

更正の請求とは何か

「更正の請求」とは、すでに提出した税務申告書の内容に誤りがあった場合に、税務署に対して正しい税額への訂正を求めるための手続きです。

 

申告納税方式(納税者自ら納付額を計算・申告する方式)の国税全般、たとえば次の税金に関して利用できる手続きです。

 

  • 所得税および復興特別所得税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 法人税
  • 消費税

 

相続税においては、申告書を提出した後に計算ミスや財産評価の誤り、また、適用できる特例の見落としなどが判明した際にも利用できます。税法で正式に認められた納税者の権利であり、適正な税額を超えて納税してしまった場合の救済措置として機能しています。

 

そして更正の請求が税務署に認められると納めすぎた税額が還付されます。ただし、単なる希望的観測ではなく客観的な根拠に基づいて税額の減額が妥当であることを証明しなくてはなりません。立証責任は納税者側にあり、証拠書類を添付するなどして請求を行わなければなりません。

相続税の払い過ぎが起こるケース

さまざまな要因で過大な税額を納めてしまうことがあります。比較的多く見られるのは以下のようなケースです。

財産評価の誤り

相続税を計算するとき、税率の適用など具体的な税額の算出を行う前段階で「財産評価」を行わなければいけません。

 

相続や遺贈で取得した財産、みなし相続財産、あるいは相続税の課税対象となる贈与財産などがあるときは、そのそれぞれについて相続税評価額を調べる必要があるのです。各財産の価値を金額に置き換えなければ計算を始めることができません。

 

その中でも特に土地や非上場株式は評価方法が複雑で、税理士の協力がなければ適切な価額を把握することは難しいです。

 

たとえば土地を評価するには路線価や固定資産税評価額を基準として計算しますが、実際の土地の形状や利用状況によって減額できるケースもあります。同じ面積の土地でも「間口が狭い土地」「奥行きが長すぎる土地」「不整形地」などは利用価値が相対的に下がることから、その分相続税評価額にも反映することが可能です。

 

また、賃貸物件の場合は貸家建付地として評価額を減額できますが、これを見落とすと多めに相続財産に加えて税額を計算することになってしまいます。上場株式に関しても、相続開始日の終値だけでなく月平均や年平均との比較で低い価額を選択できるにも関わらず、このルールを知らずに終値で計算してしまうケースがあります。

特例や控除の適用漏れ

相続税には多くの特例制度も用意されており、それらの適用漏れによって税額が過大になることがあります。

 

特に影響が大きなものとして「小規模宅地等の特例」が挙げられます。この特例は被相続人の居住用や事業用の宅地に対し大幅な評価減を認めるものですが、適用要件が複雑で誤った処理をしがちです。

 

「配偶者の税額軽減」の制度も納付額を大幅に左右する要因の1つです。配偶者が相続する財産に関して法定相続分または16,000万円のいずれか多い金額まで相続税がかからなくなる仕組みですが、この適用を誤ると本来の額から大きなずれが生じてしまいます。

 

そのほかにもさまざまな特例や控除制度があり、それぞれに独自のルールが設けられています。税制に詳しい税理士などでなければそのすべてに適切な対応をしていくのは難しく、よく理解しないまま申告を行うことで納付額を間違えてしまいます。

債務や葬式費用の計上漏れ

相続財産からは被相続人の債務や葬式費用を差し引くことができますが、これらの計上漏れがあると税額を過大に納めることになってしまいます。

 

たとえば、被相続人に支払い義務があった医療費の未払い分、固定資産税の未納分、住宅ローンの残債、クレジットカードの未払い金などは相続人が相続開始に伴い承継することとなり、その分は相続財産の総額から控除することができます。

 

葬式費用に関しては被相続人の債務ではありませんが、こちらも控除可能です。通夜や告別式の費用、火葬料、お布施、戒名料などが発生したときはその金額を差し引くことが認められるため、その適用を忘れないようにしましょう。

※初七日や四十九日法要の費用、墓石の購入費用などは控除の対象外。

相続税の計算手順の誤り

納付すべき相続税額を算出する過程は単純ではありません。受け取った財産の価額に税率を適用するだけでは正確な税額は計算できず、正しい計算手順を知っていなければなりません。

 

留意すべきポイントはこちらです。

  • 相続税額を算出するには、はじめに各相続人等が取得した財産の価額を合計しないといけない
    → 各自の取得額から独立して計算を行うわけではない。別の方が取得した価額の大きさも自身の相続税額に一定の影響を与える。
  • 税率を適用するときは、取得価額の合計額を法定相続分で按分する必要がある
    → 取得価額の合計額に適用するのでもなく、各自の実際の取得価額に適用するのでもない。
  • 全員分の相続税額(相続税の総額)をいったん出した上で、実際の取得割合で按分する
    → 実際の取得割合に関係なく税率が適用されるため、個別の納付額を算出するには、税率適用後の金額を一度合計したのち再び実際の取得割合で按分する必要がある。
  • 税額算出後も数多くの調整が行われる
    → 税額を計算したあとも、個別の事情に応じた「2割加算」「税額控除」の適用関係をチェックしていく。

こうした複雑な過程を経てようやく各自が納付すべき金額が明らかになります。この手順を誤ると過少申告となる危険性がありますし、反対に相続税の納め過ぎが起こることもあります。

未分割申告後の遺産分割

相続税の申告期限までに遺産分割協議を始められない、協議がうまく進まずなかなか成立しない、というときは「未分割申告」を行います。これは無申告のまま放置することを避けるため、いったん法定相続分で分割したものとして行う仮の申告をいいます。

 

そして応急処置としてこの申告を行い、その後正式に遺産分割が成立したときは、改めてその結果に沿った計算・申告・納付を行います。このとき、申告していた金額より本来の税額が大きくなることもあれば、小さくなることもあります。

 

もし不足額が生じたときは「修正申告」を行い、足りなかった分を追加で納めます。もし納め過ぎていたなら「更正の請求」を行い、還付を受けます。

更正の請求の手続き方法

更正の請求を行い、還付を受けるには、適切に作成された必要書類を揃えて期限内にそれらを提出しないといけません。手続きの流れ・必要な準備について詳しく見ていきましょう。

必要な書類

更正の請求には「相続税の更正の請求書」を使用します。この書類は税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードできます。

20231月以降用の様式はこちら。

「相続税の更正の請求書」の様式:
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/pdf/10-01.pdf

各種付表等の様式:
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/1585-10_01.htm

 

請求書には更正を求める理由を具体的に記載し、正しい税額の計算根拠を明確に示す必要があります。

 

さらに、請求の根拠となる添付書類の準備も行います。財産評価の誤りを主張するなら不動産鑑定書や測量図、賃貸借契約書、登記簿謄本などを準備します。特例の適用漏れを主張するなら当該特例の適用要件を満たすことを証明する書類を用意します。債務の計上漏れなら医療費の領収書、税金の納付書、借入れの残高証明書、クレジットカードの利用明細書などが証拠書類となります。葬式費用に関する計上漏れなら、葬儀社からの請求書や領収書などが根拠資料として使えます。

書類の提出方法・提出期限

更正の請求書や添付書類は、税務署に提出します。直接窓口に提出する以外に、送付をする方法、電子申告(e-Tax)をする方法が選択できます。

 

e-Taxを利用できる環境にあるなら手軽にすぐに提出することができるでしょう。ただし、添付書類が多い場合は持参または郵送が必要になることもあるため要注意です。

 

なお、更正の請求には期限があります。原則として「相続税の申告期限から5年以内」とされており、後発的な事由により税額が減額できるようになったときは例外的に「その事由が生じた日の翌日から2ヶ月または4ヶ月」が期限となります。

 

※期限が「2ヶ月」になるケースと「4ヶ月」になるケースの違い

・「遺産分割が間に合わず法定相続分で申告し、その後分割が成立した場合」「相続人の認知または廃除などが原因で相続人の範囲が変わった場合」「遺言書が見つかった場合」など多くのケースではその事由が起こった日の翌日から4ヶ月が期限となる。

・「遺産分割に関わる判決や和解により納税額が変動した場合」などのケースで、その事由が起こった日の翌日から2ヶ月が期限となる。

更正の請求が認められない場合の対処法

税務署に更正の請求を提出しても、必ずしも認められるとは限りません。提出した書類やその内容によっては請求が認められない場合もあります。

 

そしてこの税務署の決定に不服があるときは、国税不服審判所に対して審査請求を行うことができます。審査請求の期限は税務署からの通知を受けた日の翌日から3ヶ月以内と法定されており、この手続きでは税務署とは独立した機関である国税不服審判所が客観的な立場から判断をしてくれます。審査請求の結果にも納得いかないときは、最終手段として裁判所へ取消訴訟を提起します。

 

なお、更正の請求は自分で行うことも可能ですが、適切な根拠資料を準備したり請求書を作成したり、そして財産の評価や税額の計算を行うにも時間と労力が必要となります。相続税法に関する正しい知識も持っていないと上手く対処するのは難しいため、税理士を活用しましょう。

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元国税局専門官が依頼者の味方になります。

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久川 秀則
所属団体・資格等
  • 平成19年退官、税理士登録
  • 久川秀則税理士事務所代表社員 税理士
  • 東京税理士会 荏原支部 所属
  • 東京税理士会 研修講師(非居住者等の税務など)
  • 税理士桜友会 相談部 専門委員
  • 経営支援アドバイザー(弥生会計)
  • 相続手続相談士
  • 終活カウンセラー
略歴
  • 青山学院大学 文学部 英米文学科 卒業
  • 麹町税務署・麻布税務署にて国際税務専門官として国際課税、外資系企業、銀行・証券業の税務調査に従事
  • 東京国税局 課税第二部 法人課税課 源泉所得税審理係長として、大企業の質疑対応、複雑困難な税務調査事例の審理事務に従事
  • 国税庁 調査査察部 国際租税戦略実態解明プロジェクト

    東京国税局 調査第一部 外国法人調査部門の国際税務専門官として、外国企業に対する税務調査を担当~外資系企業や外資系銀行・証券会社などの税務調査、非居住者・租税条約の審理事務に長く携わってきました。

著書
  • Q&A報酬・料金の源泉所得税―事例解説から税務調査まで(大蔵財務協会) 非居住者等のための租税条約ガイドブック―源泉国際課税の重要解説及び主要条文(大蔵財務協会)
  • Q&Aメディア、エンターテイメントビジネスの税務―わかりやすい報酬・料金、非居住者等所得の源泉所得税(大蔵財務協会)

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