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相続税申告に必要な書類|必要書類の取得方法や添付書類について

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相続税申告に必要な書類|必要書類の取得方法や添付書類について

相続税の申告をするには、税制に従って複雑な計算をしたり各種控除の適用を検討したり、多くの専門知識と経験を要する作業が発生します。また、税額の計算に加え、申告時に提出を要する各種書類の準備も進めていかなければなりません。
この必要書類の収集・準備だけでも多くの時間と手間を要します。準備すべき書類の内容も人それぞれですので、注意して漏れのないよう慎重に資料を収集していくことが大切です。
この記事でも相続税申告における必要書類の例をまとめていきますので、ご自身が用意しなければならない書類を把握する上での参考にしていただければと思います。

相続税申告における必要書類一覧

相続税申告では多種多様な書類が必要になります。下表にその内容をまとめました。人によって準備すべき書類は異なりますし、ここに記載したもので完結させられるとは限らない点には留意してください。

被相続人・相続人に関する必要書類「被相続人の戸籍謄本・改正原戸籍・住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本と住民票」または「法定相続情報一覧登録図」
遺産分割に関する必要書類・遺言書
・遺産分割協議書
・印鑑登録証明書
・特別代理人を選任したときにはその審判の証明書
・相続放棄があったときには相続放棄受理証明書
預貯金に関する必要書類・残高証明書
・通帳の写しまたは預金取引履歴
不動産に関する必要書類・登記簿謄本と固定資産評価証明書または課税明細書
・名寄帳(固定資産課税台帳のこと)
・賃貸借契約書
有価証券に関する必要書類・取引残高報告書
・配当金支払通知書
・残高証明書
保険金や退職金に関する必要書類・死亡保険金支払通知書
・生命保険証書
・解約返戻金がわかる資料
・退職手当支払計算書
債務に関する必要書類・借入残高証明書など
・金銭消費貸借契約書

 

これらが主な必要書類の例です。
その他にも、贈与があった場合には贈与関係の証憑や葬式関係の証憑、小規模宅地等の特例を利用するなら同制度に基づいて提出が必要とされている書類などを準備することになります。

相続人関連で必要な書類の取得方法

相続をするには、自らが相続人であることが確認できる書類資料が必要です。
そこで、被相続人や相続人らの戸籍情報を確認する必要があります。

 

例えば被相続人の戸籍謄本や改正原戸籍については、市町村役場にて取得が可能です。1通あたり数百円の手数料で発行してもらうことができ、直接窓口に行くのが難しい場合でも郵送で発行してもらうことができます。相続人の戸籍謄本や戸籍の附票などに関しても同様です。

 

「法定相続情報一覧登録図」を準備する場合、法務局にて作成をすることになります。子の続柄が明確に示されていること、実子と養子の別が明確であること、図形式で分かりやすく作られていることなどを条件に作成できます。専門家に作成を依頼しておけば安心でしょう。
その後法務局で法定相続情報一覧登録図の認証を受けることができれば、戸籍謄本の代わりの資料としてこれを提出できるようになります。

金融機関で預貯金等の相続手続きをする際も、法定相続情報を取得しておくことで、手続きに要する時間が短縮できるため、原則として取得することが望ましいと考えられます。

遺産分割関連で必要な書類の取得方法

遺産分割に関するもっとも重要な書類は遺産分割協議書です。
金融機関やその他の機関に対し、「遺産分割により自分がこの財産を相続・承継した」ことを証明するには、遺産分割協議書が必要になります。

 

また、遺産分割の内容を左右する遺言書の存在も重要です。
自筆証書遺言として被相続人が1人で作成したときには自宅に保管されている可能性が高いです(近年創設された保管制度により法務局で保管されている可能性もある)。これに対して公正証書遺言として作成した場合には公証役場に原本が保管されます。相続開始後は遺言書の有無を確認するようにしましょう。
なお、遺言書を発見しても封を開けてはいけません。遺言書の開封は家庭裁判所にて行います。

 

遺産分割協議を行った場合には、全相続人の印鑑証明書も必要です。
1
300円で、市区町村役場にて取得が可能です。窓口であれば即日発行、郵送なら数日で届くでしょう。

 

相続放棄をした方がいる場合にも別途準備すべきものがあります。
その方は初めから相続人ではなかったことになります。そのため各種手続に関与しなくなるのですが、相続放棄したことが証明できなければなりません。そこで提出が求められるのが「相続放棄受理証明書」です。被相続人最後の住所を管轄とする家庭裁判所に問い合わせて取得しましょう。

預貯金関連で必要な書類の取得方法

預貯金に関しては「残高証明書」が必要です。
被相続人が取引をしていた金融機関にて発行を請求しましょう。金融機関によって手数料は異なりますが、多くの場合数百円程度で済みます。なお、準備しなければいけないのは“相続開始時点”における残高証明書です。

 

過去の取引情報を確認するため、「通帳の写し」なども用意しましょう。こちらも各金融機関に問い合わせて、過去5年分の取引情報が確認できるようにします。

不動産関連で必要な書類の取得方法

相続税の申告において不動産情報はとても重要です。
他の財産に比べて価額が大きく、1つ宅地が見つかるだけで納税額が大きく変動しますし、相続税申告の要否にも大きく関わってきます。

 

主に準備すべきものとして「登記簿謄本」が挙げられます。
法務局にて1通数百円で請求できます。請求の際、すべての登記事項が載っている「全部事項証明書」を取得するようにしましょう。
これに対して「固定資産評価証明書」や「名寄帳」などは、法務局ではなく市区町村役場(東京都23区は都税事務所)に対して請求を行います。

 

住まいが被相続人の所有になく、賃貸されているものである場合には「賃貸借契約書」を準備しましょう。

有価証券関連で必要な書類の取得方法

被相続人が有価証券、つまり株式などを所有していることもあります。
株式も経済的に大きな価値を持つことがあります。このことに留意し、必要書類の準備を進めなくてはなりません。

 

そこで取引のあった証券会社等に対して「取引残高報告書」の発行を請求しましょう。

 

非上場の株式会社が発行した株式の場合には、直近3期分の決算書を要します。
上場している株式に比べて市場価格が明らかではないため、資料を用いてその価値を評価する必要があるからです。

保険金や退職金関連で必要な書類の取得方法

死亡保険金や死亡退職金などは被相続人が生前持っていた財産ではありません。そのため純粋な相続財産ではないのですが、相続税の計算上はこれを相続財産として捉えて一定額を計算に含めることとなっています。

 

そこで、その申告が必要になる場面では、契約している保険会社や勤務先などに問い合わせて「死亡保険金支払通知書」や「死亡退職金の支払い計算書」などを取得しておきましょう。
これらの書類の準備が必要になるのかどうか、税額への影響など、詳しいことは税理士に相談するようにしましょう。

債務関連で必要な書類の取得方法

相続ではプラスの価値を持つ財産のみならず、マイナスの価値を持つ財産も引き継ぐことになります。
そのため被相続人が多くの財産を持っていても、借金などの債務も多く抱えている場合には、相続により結果的に相続人が利益を得られるとは限りません。

 

また当然債務の額が相続税申告にも影響してきますので、住宅ローンなどの残債務がある場合には「借入残高証明書」を用意する必要があります。被相続人が亡くなった時点における証明書を、取引先の金融機関に発行してもらいましょう。

 

その他租税公課など、未納となっているものがある場合にはその証明書も取得しておきます。住民税や国民健康保険料、介護保険料、固定資産税など、未納のものがないか確認することから始めましょう。

その他の必要書類について

上に挙げた書類のほかにも、「相続開始前3年以内の贈与があった」「相続時精算課税制度の適用を受けた贈与があった」「教育資金や結婚・子育て・住宅取得に関する一括贈与の特例の適用を受けた贈与があった」という場合には贈与契約書や贈与税申告書などの準備が必要になります。

 

「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」を利用するときにはその適用に向けて別途用意すべきものもあります。
通夜や葬儀に関する領収書などもすべて大切に保管しておくことが大切です。

必要書類を準備する際の注意点

相続税申告に向けて必要書類を取得していく際、以下の点に注意しましょう。

申告期限に間に合うようにする

一つひとつの書類を着実に集めていかなければなりませんが、あまりに時間がかかってしまっては法定の申告期限に間に合わなくなってしまいます。

「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に相続税の申告をしなければならないと定められていますので、この期限に間に合うように進めていく必要があります。相続人様ご自身で短期間で収集しきれないときは、税理士に相談し、司法書士等の専門家に収集を代行して貰う方法も検討する必要があります。

 

10ヶ月と聞くと余裕があるようにも思えますが、相続に関してしなければいけないことは多数あります。相続税に関すること以外にも多くの手続を進める必要があり、即日でなんとかなる作業ではありません。
そのため期間には余裕を持って取り組むよう注意しましょう。

戸籍謄本は被相続人の出生から死亡までのすべてを取得する

被相続人の戸籍謄本を取得することで相続人を調べることができます。遺産分割協議を行うためにも相続人調査は必須で、この調査を怠っていると後々協議をやり直すことになるなど大きなトラブルに発展する可能性が出てきます。

 

そして相続人を調査する上では、被相続人の“出生から死亡まで”の戸籍謄本が必要になります。戸籍謄本の取得自体は難しくありませんが、その内容をチェックして相続人を確実に把握していく上では専門家の力も借りた方が良いでしょう。

納税額がゼロでも申告が必要になることがある

遺産の総額が基礎控除額に満たない場合、相続税の申告は不要です。
しかし、「納税額がゼロであれば申告は不要」とはなりません。

 

上に挙げたように、「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」、その他控除の適用に申告を要するものもあります。そのため税額がゼロになるから準備は必要ないと安易に考えないよう注意しなければなりません。

相続税申告は税理士にご相談ください

ここでは相続税申告における必要書類を簡単に紹介してきましたが、各々各書類の必要性を判断し、漏れのないよう集めていくことが大切です。その判断は簡単ではありませんし、すべての資料を集めていくのには時間がかかります。フルタイムのお勤めがあるなど、平日に動くことが難しい場合には、相続税申告に向けた手続もなかなか進められないでしょう。

 

そこで税理士への依頼をおすすめします。税理士に状況を説明し、申告に係る作業を依頼すれば、必要書類の準備にかかる労力も最小限で済みます。書類準備に不備も起こりにくくなりますし、正確に税額の計算もできるようになります。

 

久川秀則税理士事務所では五反田をはじめ、品川区、大田区、港区、目黒区、渋谷区、世田谷区を中心に、東京都、神奈川県のエリアで「記帳代行」、「国際税務」、「節税対策」などの税務相談を受け付けております。「相続税申告」に関してお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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久川 秀則
所属団体・資格等
  • 平成19年退官、税理士登録
  • 久川秀則税理士事務所代表社員 税理士
  • 東京税理士会 荏原支部 所属
  • 東京税理士会 研修講師(非居住者等の税務など)
  • 税理士桜友会 相談部 専門委員
  • 経営支援アドバイザー(弥生会計)
  • 相続手続相談士
  • 終活カウンセラー
略歴
  • 青山学院大学 文学部 英米文学科 卒業
  • 麹町税務署・麻布税務署にて国際税務専門官として国際課税、外資系企業、銀行・証券業の税務調査に従事
  • 東京国税局 課税第二部 法人課税課 源泉所得税審理係長として、大企業の質疑対応、複雑困難な税務調査事例の審理事務に従事
  • 国税庁 調査査察部 国際租税戦略実態解明プロジェクト

    東京国税局 調査第一部 外国法人調査部門の国際税務専門官として、外国企業に対する税務調査を担当~外資系企業や外資系銀行・証券会社などの税務調査、非居住者・租税条約の審理事務に長く携わってきました。

著書
  • Q&A報酬・料金の源泉所得税―事例解説から税務調査まで(大蔵財務協会) 非居住者等のための租税条約ガイドブック―源泉国際課税の重要解説及び主要条文(大蔵財務協会)
  • Q&Aメディア、エンターテイメントビジネスの税務―わかりやすい報酬・料金、非居住者等所得の源泉所得税(大蔵財務協会)

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