【税理士が解説】住宅ローンが残っている場合の相続税の扱い
住宅ローン付きの不動産を相続すると、資産と負債の両方を引き継ぐことになります。
相続税の扱いも複雑になるため、仕組みを理解しておくことが、スムーズな相続をするためにも重要です。
今回は住宅ローンが残っている場合の相続税の扱いについて解説していきたいと思います。
住宅ローンが残っている不動産を相続した場合の基本ルール
住宅ローンが残っている不動産を相続する場合、その不動産自体は相続税の課税対象です。
不動産を含めた相続財産の評価額が基礎控除額を超えた場合には相続税が発生します。
一方で、相続財産には控除できる債務もあり、住宅ローンの残高は債務控除として差し引くことが可能です。
そのため、債務控除を適用した結果、相続財産が基礎控除額を下回れば相続税は課されません。
ただし、住宅ローンが債務控除できるかどうかは、被相続人が加入していた生命保険の種類によって大きく変わるため注意が必要です。
団体信用生命保険がある場合
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に債務者が死亡したり高度障害状態になったりした場合に、残っている住宅ローン残高相当額を金融機関に支払う保険のことです。
団信には一般団信(死亡・高度障害時のみ補償)のほか、三大疾病やがんなどを対象とする特約付きのものもあり、金融機関や契約プランによって内容が異なります。
団信による保険金は、金融機関に支払われるため相続税の課税対象にはなりません。
また住宅ローンは保険金で完済され、相続人は住宅ローンを引き継ぐことがないため、債務控除は適用されません。
また、多くの金融機関では住宅ローンを契約する際に一般団信への加入を義務付けているケースが一般的です。
団体信用生命保険に加入していない場合
団信に加入していない場合、被相続人が亡くなると住宅ローンの残高はそのまま相続財産に引き継がれます。
このとき、住宅ローンの残高は債務控除の対象になるため、相続税を計算する際に不動産の評価額から差し引くことが可能です。
その結果、相続財産の課税価格が基礎控除を下回れば相続税が発生しないケースもあります。
ただし、団信に入っていない場合は、相続人が住宅ローンを返済していく必要があります。
相続税の計算上は有利になる一方、毎月の返済負担が残るため、遺族の生活資金や不動産の活用方法についても慎重に検討しましょう。
まとめ
今回は住宅ローンが残っている場合の相続税の扱い方法について解説していきました。
住宅ローンの相続税の扱いはケースによって異なります。
正確な申告や節税のためにも、専門家である税理士への相談を検討してみてください。