【税理士が解説】農地にかかる相続税の計算方法とは?
相続税の計算はただでさえ複雑ですが、農地の相続となると更に難しくなります。
農地にかかる相続税には特別な評価方法や課税の特例があり、一般的な不動産とは異なる取り扱いが必要となるためです。
本記事では、税理士の視点から農地の相続税計算について解説していきます。
農地の相続税評価の基本
農地の相続税評価額は、一般的な宅地とは異なる方法で算出されます。
農地の評価方法は、主に以下の3つです。
- 純農地としての評価
- 市街地農地としての評価
- 中間農地としての評価
純農地としての評価
純農地とは、市街化調整区域内にある農地や、市街化区域内であっても長期営農継続農地に該当する農地のことを指します。
この場合、農業投資価格を基準として評価されます。
農業投資価格は、その土地から得られる農業収益を基に算出された価格であり、一般的な宅地の評価額と比べてかなり低くなる傾向があります。
市街地農地としての評価
市街地農地は、市街化区域内にあり、純農地に該当しない農地のことです。
この場合、宅地並み評価となりますが、一定の減額措置が適用されることがあります。
具体的には、宅地並み評価額から造成費相当額を控除した金額が評価額となります。
中間農地としての評価
中間農地は、純農地と市街地農地の中間に位置する農地です。
評価方法は、純農地としての評価額と市街地農地としての評価額の中間の金額となります。
農地の相続税における課税の特例
農地の相続税には、いくつかの特例措置が設けられています。
これらの特例を利用することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
生前一括贈与の特例
農業を営む人が、生前に後継者に農地等を一括贈与する場合、贈与税の納税が猶予される特例があります。
この特例を利用すると、相続時に贈与税と相続税の精算を行うことになりますが、相続税の節税効果が期待できるでしょう。
相続税の納税猶予制度
農業相続人が、相続または遺贈により農地等を取得し、農業を継続する場合、一定の要件を満たせば相続税の納税が猶予される制度があります。
この制度を利用することで、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
農地の相続税計算の実例
実際の農地の相続税計算がどのように行われるか、簡単な例を見てみましょう。
例:市街化調整区域内の純農地1,000㎡(評価額500万円)を相続した場合
- 相続税の基礎控除額を3,000万円と仮定
- 相続財産の総額が基礎控除額を下回るため、この例では相続税は発生しない
ただし、他の相続財産と合わせて基礎控除額を超える場合は相続税が課税されます。
その場合、農地の評価額や各種特例の適用により、納税額が大きく変わる可能性があります。
まとめ
今回は、農地にかかる相続税の計算方法について解説しました。
農地の相続税評価は一般の不動産とは異なり、純農地、市街地農地、中間農地の3つに分類されます。
農地の相続は複雑な要素が絡むため、専門家である税理士に相談することをおすすめします。